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若き蔵人よ  

 先日の「本格焼酎&泡盛試飲フェスタ in 大阪」で、すき酒造さんの社員さんが「今のウチの蔵はまだまだ内嶋(杜氏)さんの力をフルに発揮してもらえるような環境ではありませんが、近い将来には必ず蔵を整備しますので…」とおっしゃってたことが印象に残ってますが、今日のネタはそれとは全く逆のお話。


 弊店がお取引頂いている大阪市内の料飲店さんの社長からのご紹介で、奈良県の某日本酒蔵の営業の方から先月にお電話があり、「ぜひ一度、ウチの酒を利いて評価を頂きたい」とのこと。
殆ど聞いたことの無いメーカーさんでしたが、その料飲店さんの社長のご紹介とあらば無下に断る訳にもいかず、「取り扱うかどうかはわかりませんが、とりあえずどうぞ」。

その営業の方はY君という、31歳のイケメンくん。
早速、持参して頂いた同社の製品3種(本醸造、特別純米酒、純米吟醸)を抜栓してテイスティングしましたが、残念ながらいずれも×。
比較的マシだったのは純米吟醸(1800ml @2500)でしたが、香りは上品で好感が持てたものの、味のノリが今一つ、いや二つ。。。

ただ、Y君にすれば私の評価はまさに"想定の範囲内"だったようで「私も仰る通りだと思います」。
「もう少し価格は高くてもイイから、飲み応えのあるモノを…」という私の意見に、「次回はその価格帯の製品を持参しますので、もう一度お付き合い下さい」ということでその日はそれまで。


 そのY君が先日、こちらのリクエストに応えて新たに二種類の製品を持参して二度目のご訪問。
二種類のお酒は純米吟醸と吟醸でしたが、これまた結果は同じ。

彼の「忌憚の無いご意見を…」に対して、「5種類の酒をテイスティングした結果が皆同じということは原料云々ではなく造りに、おそらくは麹造りに問題があるのでは?」と言うとこれまた「自分もそう思います」。

その後、彼の口からは造りの問題点や蔵の現状、社長の考え方など思うところを聞かされました。
そして「このままでは潰れるのは明らかなのに、社長は何も変えようとしない」などの愚痴もついポロリ。


 私から見た場合、彼の考え方は絶対に正しい。
造りに対してだけでなく流通に関しての意見も確実に的を得ているように思えました。
しかし残念ながら彼が働いている今の蔵は彼を活かしきれる環境ではありません。
でも、彼なりに意地があるらしく、「いっそ蔵を移ってみてはどう?」と提案しても、「何も残さないまま辞めていくのは嫌なんで、せめてアト5年は…」とさすがにイイところがある。
「じゃあ一度、タンク1本を借りてキミ自身の理想のお酒を造ってみては?きっとイイお酒ができるよ」と私。

帰り際、『佐藤勝郎流<山田錦純米吟醸>(生・原酒)』を手土産に持たせ、「社長や蔵人の皆さんにこれを飲ませたら、キミの言いたいことが少しは理解してもらえるやろ。」。
彼はよほど嬉しかったのか自ら握手を求め、私の手を強く握りながら爽やかな笑顔で「これからも宜しくお願いします!」。


 その翌日、彼から電話がありました。
たまたま大阪国税局の酒類鑑定官の方がお見えになったので、私が手土産に渡した『佐藤勝郎流』を鑑定官の方にブラインドでテイスティングして頂き、評価を仰いだところ、「これはまとまりのある素晴らしい出来だよ」と大絶賛だったとか。
それを受けて蔵の社長や杜氏さん、他の蔵人さん達と皆でテイスティングを行なったそうで、Y君曰く「これで少しは変わりそうな気がします♪」。
うんうん、まずは一歩前進で良かったね!


 31歳の若き蔵人・Yくん。
いつかキミ自身が酒を造ったら全力で以って販売させてもらうからな!

by tsuru-ume | 2008-02-17 22:57 | 日本酒

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